これまでの取り組み

技術力×創造力
「第三の柱」への挑戦。

2016年で100年の節目を迎えたソミック石川。モノづくりの企業としての今後を見据え、製品開発機能、販売機能、生産機能からエキスパートを結集し、8名からなるSMHD事業の開発チームを社内に結成しました。
自動車部品専門メーカーとして築いた技術力・開発力を注ぎ込み、ボールジョイント、ダンパーに次ぐ「第三の柱」となる製品の研究・開発を進めています。そのコンセプトは「人の役に立つこと」。今までのジャンルや分野にとらわれず、まったく新しい発想で社会の役に立つモノづくりを模索しています。「SOMIC」の由来である、「創造」「未来」「挑戦」。次の100年も、その言葉通りの100年にできるよう、ソミック石川は新たな事業モデルへと挑戦していきます。

全社横断的なチーム活動や一般社員参加のアイデア出し会などを実施して、顧客ニーズと自社のコア技術から「人の役に立つこと」をいろいろな切り口で考えています。

どこでも車いす

どんな新製品を作り、どんな事業を展開するのか。SMHD事業のために新設された「新商品タスクチーム」は、議論を重ね、「自分たちが提案できるのは、やはり乗り物ではないのか」という結論に達しました。そこから今の世の中で人の役に立つモノづくりとは何かを考え、自動車業界の電動化や、自社工場でも活躍している“ロボット”に着眼。新商品の方向性を「メカトロニクス」に決定しました。その後もさまざまな構想を練り、徐々に向かうべき方向が見えてきました。「夢」「未来」「社会貢献」「高齢化社会」「福祉」「エコ」。そして今まで培ってきた「車の安心で安全な移動」。浮き上がってきたいくつかのキーワードの中心にあったのが、『車いす』でした。

早速、市場調査を開始し見えてきたのは「しっかりとしたサスペンション機構を持っている車いすが少ない」という事実。そして、車いすは車いすでしかなく「どこへでもは行けない」という問題点。これらを解消するのに、ソミック石川の強みであるボールジョイントと、サスペンション機構に関する知識はうってつけでした。行こうと思えば山でも行けるような走破性で平地を走れば、搭乗者の安全・安心につながるはず。誰もが「かっこいい」と思えるデザイン性に優れた車いすがあれば、なお差別化できるはず。それらの仮定のもと、一年目は骨格モデルを作り安全性と走破性を確認。二年目に試作モデルを製作。そして完成したのが、安心安全なパーソナルモビリティ、『どこでも車いす』です。

『どこでも車いす』には、ソミック石川の持つノウハウとアイディアを詰め込みました。4WD。4WS。後進。斜めに進む。小回りが利く。乗用車は4輪がそれぞれに動く独立サスペンションの方が乗り心地よく感じますが、どこでも車いすは走破性を重視し、リジットタイプ(車軸方式)を採用。安定しすぎるがゆえにどこでも行けてしまうので、安全面も考慮しレーザーセンサーを搭載。進行方向に合わせてセンサーが回転し、障害物があると音で警告したり、段差があると減速したりします。また、坂を上る際に体が後ろに傾く不安感をなくすために、シートが前後左右に動き、水平を保ちます。重心が常に一定の位置にあるため、坂道でも前輪のグリップ力が落ちず、快適な走行が可能です。

デザインにもこだわり、数々の近未来的なデザインのクルマを生み出したデザイナーにデザインを依頼。先進的で未来感のあるデザインに仕上がりました。ソミック石川の専売特許であるボールジョイントも、20数個を搭載しています。

持てる技術を結集し完成させた『どこでも車いす』のように、SMHD事業開発は培ってきた技術を強みとして活かし、そこから新たに得た技術を既存事業にフィードバックしながら進めています。『どこでも車いす』の事業化は総合的に時期尚早と考え、現在は次のいくつかの種を育てています。

ロボキャラ家康くん

2016年春、浜松商工会議所のプロジェクトの一つとして、浜松市のマスコットキャラクター「出世大名家康くん」のロボット化が決定。「どこでも車いす」の技術と知見を買われ、プロジェクトリーダーから声をかけていただき、共同開発がスタートしました。

ソミック石川はロボットの電気全般を担当、「どこでも車いす」の開発で獲得したモータ制御技術を応用しました。プロジェクトでは、わずか10ヶ月で2体を製作。地元でのお披露目を皮切りに「出世大名家康くん」「出世法師直虎ちゃん」とともにさまざまなイベントへ参加して、浜松の魅力を全国へPRしました。この「地域連携による新たなものづくりへの挑戦」は、SMHD事業のビジネスモデルとしてメディアに取りあげられ注目されました。

プロジェクト参加企業:
(株)エム・エス・ケー(プロジェクトリーダー兼 製造、組立担当)
   M.D.O(サブリーダー兼 構造、機械設計担当)
(株)CAIメディア(ソフトウェア設計担当)
(有)オフィス・エムアンドケイ(広報担当)
(株)ソミック石川(駆動部制御、電気設計担当)

ゆるキャラ®グランプリ2016 in愛媛
「出世大名家康くん」「出世法師直虎ちゃん」とともに浜松の魅力を全国へPR

「ロボキャラ家康くん」

リハビリ・スティック®

ソミック石川の企業理念は「人のつながりを大切にし、力いっぱいの努力で、世の中の役に立ち、愛される会社となる」。人、世の中の役に立ち、社会貢献できる新製品を開発したい…現在の日本は少子高齢化が進み、介護・福祉分野でのニーズが増え、今後もより増加することが予想されます。「自動車分野で培った技術力を介護・福祉分野でも活かせるのではないか」そう考えました。

そして、東京工科大学 酒井弘美教授(医療保健学部 作業療法学科)と、「リハビリ・スティック®」の共同開発を行いました。現在日本での脳血管疾患患者数は約118万人(2016年厚生労働省調査)。多くの方が、脳血管疾患による後遺症としての片麻痺(体の片側だけが麻痺して思うように動かせなくなること)に悩まされています。その中でも、特に腕や手は回復が難しいといわれています。運動機能の回復には十分なリハビリテーションが重要で、特に能力に合った適切な運動を何回も繰り返す必要があります。しかし、現在は入院期間が短縮され、腕や手の訓練だけに十分な時間を使うことはできません。

「リハビリ・スティック®」は、「楽しみながら毎日リハビリ」が製品コンセプト。本体と付属の小型PCを施設や家庭のテレビに接続するだけで、簡単にトレーニングを行うことができます。小型PCにゲームソフトが入っており、ゲーム感覚で楽しみながらトレーニングをし、ユーザーごとにゲームの履歴を確認できるため、モチベーションアップにもつながります。ゲームの内容もシンプルで、誰にでも分かりやすい内容です。

<リハビリ・スティック®の主な機能>
  • 片手で持ち運べる大きさ
  • 個人の体格に合わせた長さ調節が可能
  • 滑らかに動くボールジョイントのかたさ調節機能付き
  • 車いすに乗ったままで利用可能

※現在、リハビリ・スティック®は取り扱いをしておりません。

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